尿アニオンギャップ(UAG)計算機

代謝性アシドーシスの鑑別診断をサポートする臨床支援ツール

UAG = (Na+u + K+u) - Cl-u

尿アニオンギャップ (UAG)

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単位: mEq/L

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尿アニオンギャップ(UAG)とは何か?

尿アニオンギャップ(UAG: Urine Anion Gap)は、正常アニオンギャップ型代謝性アシドーシス(hyperchloremic metabolic acidosis)の鑑別診断において極めて重要な指標です。 特に、アシドーシスの原因が「下痢などによる腎外性の重炭酸欠失」なのか、あるいは「腎尿細管性アシドーシス(RTA)などの腎臓自体の排泄障害」なのかを区別するために用いられます。

通常、尿中の陽イオンと陰イオンは均衡していますが、日常的な臨床検査ではすべてのイオンを測定するわけではありません。UAGは、測定されない陰イオン(主成分はアンモニウムイオン:NH4+)の排泄状況を間接的に推測するためのツールです。

UAGの臨床的意義と判定基準

UAGの計算結果に基づき、以下の2つの主要なパターンに分類されます。

  • 負の値 (Negative, < 0): 尿中にNH4+が十分に排泄されていることを示します。アシドーシスに対する腎臓の反応は正常であり、原因は下痢などの腎外性であることが疑われます。
  • 正の値 (Positive, > 0): 尿中へのNH4+排泄が不十分であることを示します。これは腎臓による酸排泄能力の低下を意味し、腎尿細管性アシドーシス(RTA)などが強く疑われます。

なぜ尿中クロール(Cl)がNH4+の代替指標になるのか?

本来、腎臓が血中の過剰な酸を排泄する際、最も重要な役割を果たすのがアンモニウムイオン(NH4+)としての排泄です。しかし、尿中NH4+を直接測定するのは手間がかかり、ルーチン検査には含まれません。

ここで、電気的中性の原理が働きます。尿中において、NH4+は通常クロール(Cl-)を対イオンとして伴って排泄されます(塩化アンモニウム:NH4Clの形)。 したがって、尿中のCl-濃度が Na+ + K+ の合計を大きく上回っている(つまりUAGが負になる)場合、その差分は測定されていない陽イオン、すなわちNH4+が存在している証拠となるのです。

腎尿細管性アシドーシス(RTA)の型とUAG

UAGが正の値を示し、RTAが疑われる場合、さらに詳細な型分類(1型、2型、4型)が必要になります。

名称 主な病態 血清K UAG
1型 遠位 RTA 遠位尿細管でのH+排泄障害 低下 正 (Positive)
2型 近位 RTA 近位尿細管でのHCO3-再吸収障害 低下 正 (初期以降)
4型 低アルドステロン性 低レニン・低アルドステロン症 上昇 正 (Positive)

診断のピットフォールと注意点

UAGを用いる際、以下の状況下では解釈に注意が必要です。これらは「測定されないアニオン」が増加するため、UAGが正確にNH4+を反映しなくなります。

  • ケトアシドーシス: 尿中にケトン体(アセト酢酸など)のアニオンが大量に排泄されるため、UAGが正に振れることがあります。
  • 馬尿酸塩の排泄: トルエン吸引(シンナー遊び)など。
  • 抗生剤(ペニシリン系など): 大量の陰イオン性薬物が尿中に排泄される場合。
  • 尿中pH: 6.5を超えるようなアルカリ尿では、UAGの信頼性が低下する傾向があります。

臨床での現場対応ステップ

  1. 血ガス分析: 代謝性アシドーシスを確認する。
  2. 血清アニオンギャップ: AGが正常(12前後)であり、高クロール血症を伴うことを確認する。
  3. 尿中電解質測定: Na, K, Clを測定し、本計算機でUAGを算出。
  4. 鑑別診断: UAGが負なら下痢。正ならRTAを疑い、血中K値や尿中pH、基礎疾患(糖尿病、シェーグレン症候群、薬剤使用歴など)を評価する。

免責事項

本ツールは学習および臨床的判断の補助を目的としたものであり、診断を確定させるものではありません。実際の医療現場では、最新のガイドラインに基づき、専門医の判断と総合的な検査結果を優先してください。