真ひずみ計算機

大変形を伴う材料試験において、より物理的に正確な変形量を算出します。

真ひずみ ($\varepsilon_{t}$)
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真ひずみ(真歪み)とは?:物理的な変形の定義

材料が変形する際、その変形量を表す指標には大きく分けて2種類あります。一般的に「ひずみ」と言えば、初期の長さを基準とした「公称ひずみ(工学ひずみ)」を指すことが多いですが、材料が大きく変形する場合(塑性変形など)には、瞬間瞬間の長さを基準とした**「真ひずみ(対数ひずみ)」**を用いることが物理学や材料工学的に正解となります。

真ひずみは、微小な変形の積み重ねを積分して得られるため、大きな伸びや圧縮を伴う加工プロセス(圧延、鍛造、深絞りなど)における材料の挙動を正確に記述するのに適しています。

真ひずみと公称ひずみの定義と違い

1. 公称ひずみ (Engineering Strain: $\varepsilon_{e}$)

工学的に最もシンプルで、引張試験などで直感的に使われる指標です。

$\varepsilon_{e} = \frac{\Delta L}{L_0} = \frac{L - L_0}{L_0}$

初期の長さ $L_0$ のみを基準とするため、変形が大きくなると「基準が古くなる」という問題が生じます。

2. 真ひずみ (True Strain: $\varepsilon_{t}$)

変形の途中の長さ $L$ を逐次基準として積分したものです。別名「対数ひずみ」とも呼ばれます。

$\varepsilon_{t} = \int_{L_0}^{L} \frac{dL}{L} = \ln\left(\frac{L}{L_0}\right)$

この対数表示により、真ひずみは「変化の連続性」を維持できるのです。

真ひずみと公称ひずみの変換公式

公称ひずみ $\varepsilon_{e}$ がわかっている場合、以下の式で真ひずみ $\varepsilon_{t}$ に変換できます。

$\varepsilon_{t} = \ln(1 + \varepsilon_{e})$

変形が非常に小さい場合(弾性域など、数%以下の伸び)、両者の差はほとんど無視できます。しかし、10%を超えるような塑性変形領域では、その差は無視できないほど大きくなり、真ひずみの方が物理的な真実に近くなります。

真ひずみが重要な理由:塑性力学の基礎

  1. 一定体積の法則: 塑性変形において、材料の体積は一定であると仮定されます。このとき、長さ・幅・厚みの3方向の「真ひずみ」を合計すると、常にゼロになるという便利な法則($\varepsilon_{1} + \varepsilon_{2} + \varepsilon_{3} = 0$)が成立します。これは公称ひずみでは成立しません。
  2. 加工硬化の評価: 金属を叩いたり引き伸ばしたりして硬くする「加工硬化」を議論する際、真応力・真ひずみ曲線(SS曲線)を用いることで、破断に至るまでの正確な材料特性を評価できます。
  3. 圧縮と引張の非対称性解消: 公称ひずみでは100%の圧縮と100%の引張は全く異なる意味を持ちますが、真ひずみを用いると、圧縮方向は負の値、引張方向は正の値として対等に扱うことができます。

まとめ:正確なひずみ評価のために

機械設計や材料試験の現場では、微小変形なら「公称ひずみ」、プレス加工や衝突解析などの大変形なら「真ひずみ」と、用途に合わせて使い分けることが重要です。当「真ひずみ計算機」は、初期長さから、あるいは公称ひずみからの変換をサポートし、あなたの工学的な解析を加速させます。

よくある質問 (FAQ)

Q. 真ひずみに単位はありますか?
A. ひずみ(歪み)は無次元量(長さ÷長さ)のため、単位はありません。ただし、利便性のために「%」や「$\mu\varepsilon$(マイクロストレイン)」として表現されることがあります。
Q. 伸び縮みしたときの「真応力」との関係は?
A. 真ひずみと同時に「真応力(荷重÷変形後の断面積)」を計算することで、より正確な力学的評価が可能です。特に「くびれ」が発生した後の試験では、これら真値の算出が必須です。
Q. ヤング率(縦弾性係数)は真ひずみを使っても同じですか?
A. 弾性域では変形が極めて小さいため、公称ひずみを使っても真ひずみを使っても、得られるヤング率は実用上同じ値になります。