SOFAスコア計算機 (Sequential Organ Failure Assessment)
臓器不全の程度を6つの系統から評価し、敗血症の診断と予後予測をサポートします。
評価結果
SOFAスコアとは?:臓器不全の重症度を数値化する
SOFA (Sequential Organ Failure Assessment) スコアは、集中治療室(ICU)などで患者さんの全身状態、特に「主要な臓器がどの程度正常に機能しているか」を評価するために開発された指標です。かつては Sepsis-related と呼ばれていましたが、現在では敗血症以外の患者さんにも広く応用されています。
SOFAスコアの最大の特徴は、単発の評価(スナップショット)ではなく、経過による 「変化(デルタ値)」 を重視する点にあります。ベースライン(普段の状態)から2点以上スコアが悪化した際、その患者さんには感染症に伴う敗血症の疑いが高いと判断されます(Sepsis-3基準)。
評価される6つの臓器系とその指標
SOFAスコアは以下の6項目をそれぞれ0点(正常)から4点(最重症)の5段階で評価し、合計を算出します。
- 呼吸器: PaO₂/FiO₂比(P/F比)を用います。酸素を取り込む能力を評価します。
- 凝固: 血小板数を用います。DIC(播種性血管内凝固)などのリスクを評価します。
- 肝: 総ビリルビン値を用います。胆汁のうっ滞や肝細胞障害を評価します。
- 循環: 平均血圧(MAP)や、使用している昇圧剤(ノルアドレナリン等)の投与量で評価します。
- 中枢神経: グラスゴー・コーマ・スケール(GCS)による意識レベルの評価です。
- 腎: クレアチニン値、または1日の尿量で腎機能の排泄能力を評価します。
スコアの解釈と死亡率の関係
SOFAスコアが高いほど、臓器不全の程度が深刻であり、院内死亡率の上昇と強い相関があることが研究で示されています。
- 0〜6点: 比較的軽症の状態ですが、敗血症が疑われる場合は厳重な観察が必要です。
- 7〜12点: 中等症〜重症。集中的な治療と臓器補助(透析や人工呼吸器など)が必要になるケースが多いです。
- 13点以上: 最重症。死亡率が50%を超える可能性も示唆されるため、高度な救命処置が行われます。
qSOFAスコアとの使い分け
2016年に発表された「Sepsis-3」ガイドラインでは、スクリーニング(疑いを持つ)ための qSOFA と、確定評価のための SOFA の使い分けが提唱されています。
- qSOFA (Quick SOFA): 呼吸数(≧22)、意識変容(GCS <15)、平均血圧(≦100)の3項目のうち2つ以上当てはまる場合。ICU外でのスクリーニングに有用です。< /li>
- SOFA (本ツール): ICU入室後や詳細な検査データが揃った後で、臓器不全の進展を時系列で把握するために使用します。
[!IMPORTANT]
本ツールは、医療従事者が患者の状態を客観的に評価するための補助ツールです。個別の患者における臨床判断は、スコアの数字だけでなく、身体所見、病歴、専門医の知見などを統合して行ってください。
よくある質問 (FAQ)
Q. 基礎疾患がある場合、どう点数をつけますか?
元々慢性腎不全でクレアチニンが高い方の場合は、「普段の状態(ベースライン)」からの 上昇幅 に注目します。敗血症の診断においては、普段からの2点以上の上昇を重視します。
Q. P/F比の計算方法を教えてください。
PaO₂(動脈血酸素分圧)を FiO₂(吸入気酸素濃度)で割った値です。例えば PaO₂が80mmHgで、FiO₂が40% (0.4) の場合、P/F比は 200 となります。
Q. 点数が1点でも増えたら危険ですか?
点数の絶対値も重要ですが、数時間前から数点上がっているといった「変化のトレンド」が最も危険なサインです。早急な原因検索(感染源の治療、血液培養の提出など)が必要になります。
Kaori Suzukiの視座:数字の向こう側にある「命の呼吸」
ICUという命の最前線において、SOFAスコアという共通言語があることは非常に強力です。医師、看護師、臨床工学技士が「今日のスコアは12点、昨日より3点上がった」と共有するだけで、全員が患者さんの危機的状況を瞬時に理解し、一丸となって行動できるからです。しかし、計算機を叩くことだけで満足してはいけません。スコアに現れない微細な変化、例えば肌の色、表情、呼吸の深さといった「五感」での観察とこの数値を統合したとき、初めて真の看護・医療が実現します。このツールが、救命の一助として適切に活用されることを切に願っています。