PASI(乾癬重症度指標)計算機

客観的な皮膚評価に基づく病勢ステータスの定量化。臨床試験レベルの精密解析。

Current PASI Score
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軽症 (MILD)

※本計算機は体幹部を基準とした簡易的評価です。全身評価には頭部・上肢・下肢の重み付けが必要です。

PASIスコアとは:乾癬治療における「共通言語」

PASI (Psoriasis Area and Severity Index) は、乾癬(かんせん)という皮膚疾患の重症度を数値化するために、世界中の皮膚科医が使用している最も標準的な評価指標です。 乾癬は単なる「肌荒れ」ではなく、免疫システムの異常によって皮膚のターンオーバーが極端に早まってしまう慢性の炎症性皮膚疾患です。PASIはこの複雑な病変を客観的に記録し、治療薬の効果を正確に判定するために開発されました。

専門的な評価のポイント

PASIは以下の3つの症状を各4段階で評価し、さらに面積を掛け合わせます。

  • 紅斑 (Erythema): 毛細血管の拡張による「赤み」の強さ。
  • 浸潤 (Induration): 触診による「皮膚の盛り上がり(厚さ)」の程度。
  • 落屑 (Desquamation): 角質の異常な剥離、いわゆる「銀白色の鱗屑」の量。

日本皮膚科学会のガイドラインと治療目標

日本の皮膚科臨床では、患者さんの状態に合わせて「外用薬(塗り薬)」「光線療法(紫外線)」「内服薬」、そして最新の「生物学的製剤」を組み合わせて治療を行います。 特に注目されるのが PASI 75 / 90 / 100 基準 です。

  • PASI 75: 治療開始前と比較してスコアが 75% 減少した状態。現代の標準的な「良好な改善」の指標です。
  • PASI 90: スコアが 90% 減少。ほぼ全ての皮疹が消失した「クリア」に近い状態を目指します。
  • PASI 100: 全く皮疹がない「完全な消失(完全寛解)」を意味します。

かつては「症状が半分になれば成功」と言われていましたが、近年の優れた治療薬の登場により、多くの患者さんが PASI 90 や 100 を目指せる時代になっています。

生物学的製剤の使用検討基準

PASIスコアが10以上(重症)であったり、病変面積が体表面積の10%を超えている場合、あるいは生活の質(QOL)が著しく低下している場合には、抗TNFα抗体や抗IL-17抗体、抗IL-23抗体といった 生物学的製剤 の使用が検討されます。 これらは炎症を引き起こす物質(サイトカイン)をピンポイントでブロックするため、従来の治療で改善が難しかった重症例に対しても、劇的な効果を発揮することがあります。

日常生活で気をつけるべきこと

PASIスコアを低く保ち、寛解を維持するためには、病院での治療と同じくらい自宅でのケアが重要です。

  1. 皮膚を乾燥させない: 保湿剤をこまめに塗り、皮膚のバリア機能を助けます。
  2. 物理的刺激を避ける(ケブネル現象): 乾癬には、引っかいたり擦ったりした場所に新しい病変が出る「ケブネル現象」という特徴があります。ナイロンタオルでゴシゴシ洗うのは厳禁です。
  3. 生活習慣の改善: 肥満、喫煙、過度なストレスは乾癬を悪化させることがわかっています。バランスの良い食事と適度な睡眠を心がけましょう。

心のケアとDLQI:数字に表れない重症度

PASIスコアが低くても、顔や手足など「目立つ場所」に皮疹がある場合、患者さんの精神的苦痛は非常に大きくなります。 そのため、医療現場ではPASIだけでなく、 DLQI (Dermatology Life Quality Index) という「生活の質を問うアンケート」も併用されます。 「数字上は軽症でも、本人にとっては非常に辛い」というギャップを埋めることが、乾癬治療の真のゴールと言えます。

まとめ:スコアを味方につけて治療に臨む

PASIスコアは、今の自分の立ち位置を確認するための「地図」のようなものです。 主観的な「良くなった気がする・しない」ではなく、客観的な数値を主治医と共有することで、より最適な治療のステップアップ(あるいは維持)の判断が可能になります。 本ツールをきっかけに、ご自身の皮膚の状態をより深く理解し、前向きな治療継続に役立ててください。

※本シミュレーターの計算結果はあくまで目安であり、全身の各部位(頭部、体幹、上肢、下肢)を重み付けして合算する正式なPASIスコア算出法とは若干異なる場合があります。正確な診断については、必ず皮膚科専門医の判断を仰いでください。