ノートンスケール計算機

褥瘡リスクを科学的に評価し、適切な予防ケアを支援します

NORTON SCALE TOTAL SCORE
20
低リスク

ノートンスケール(Norton Scale)とは

ノートンスケール(Norton Scale)は、1962年にドリーン・ノートン(Doreen Norton)らによって開発された、褥瘡(じょくそう・床ずれ)の発生リスクを客観的に評価するための指標です。臨床現場においては、より項目数の多いブレーデンスケールと並んで世界的に普及しており、特に高齢者施設や長期療養病棟において、患者のケアプランを策定する際の基礎データとして重宝されています。

この計算機は、「身体状態」「精神状態」「活動性」「可動性」「失禁」という5つの評価軸を用い、それぞれ1点から4点までのスコアリングを行います。合計点数が低いほど褥瘡発生のリスクが高いことを示しており、特に14点以下の場合は、医学的に「リスクあり」と判断され、積極的な予防措置が必要となります。

【重要】 スコアが14点以下の方は、速やかに専門の医療従事者(看護師、皮膚・排泄ケア認定看護師など)によるアセスメントと予防的介入を受けることが推奨されます。

褥瘡(床ずれ)のリスク判定基準

ノートンスケールにおける総合得点とリスクの相関は、一般的に以下のように定義されています。

  • 15点以上:低リスク - 現状では発生の可能性は低いですが、状態の変化に注意が必要です。
  • 13〜14点:中等度リスク - 褥瘡発生の懸念があります。体位変換の頻度を増やすなどの初期対応が望まれます。
  • 11〜12点:高リスク - 褥瘡が発生しやすい状態です。エアマットレスの導入や集中的なスキンケアが必要です。
  • 10点以下:超高リスク - 非常に高い確率で褥瘡が発生します。全身の血流改善、栄養サポート、24時間の徹底した管理が求められます。

評価項目の詳細とアセスメントのポイント

正確なスコアリングを行うためには、各項目の状態を以下のように理解しておく必要があります。

1. 身体状態 (Physical Condition)

患者の全身的な健康状態を評価します。食事摂取量が良好で活気がある場合は「4:良い」になりますが、急性疾患や重度の脱水、極度の痩せなどがある場合は「2:悪い」以下を選択します。

2. 精神状態 (Mental Condition)

脳の覚醒度や認知機能を評価します。単に言葉が通じるかだけでなく、褥瘡予防のために自身で体を動かす意欲や指示への理解力も含まれます。「無関心(アパシー)」状態にある患者は、痛みを訴えないためリスクが見逃されやすい傾向にあります。

3. 活動性 (Activity)

患者の移動能力のレベルです。寝たきり(臥床)状態は、最も長時間にわたり骨突出部へ圧力がかかるため、最も低い「1点」となります。

4. 可動性 (Mobility)

自身の意志で体の位置をどの程度変えられるかを評価します。麻痺や関節拘縮がある場合、どれほど「活動性」が高くても「可動性」が低いと評価され、特定の場所に圧力が集中してしまいます。

5. 失禁 (Incontinence)

皮膚の湿潤環境を評価します。尿や便による皮膚のふやけ(浸軟)は、摩擦やずれに対する耐久性を著しく低下させ、褥瘡の引き金となります。特に便失禁は細菌感染のリスクも高めるため、厳重な管理が必要です。

褥瘡予防のための3大原則

ノートンスケールでリスクが確認された場合、以下の3点を意識したケアを実行します。

  1. 減圧と除圧: 体位変換を2時間ごとに行い、圧力を分散させる体圧分散寝具(エアマットレス等)を使用します。
  2. 皮膚の保清と保湿: 皮膚を清潔に保ち、過度な乾燥や湿潤を防ぐために撥水性のある保護クリームなどを使用します。
  3. 栄養管理: タンパク質、ビタミンC、亜鉛などの摂取を強化し、皮膚の修復能力と抵抗力を向上させます。

まとめ

ノートンスケールは非常にシンプルで使いやすいツールですが、あくまでリスクを「可視化」するためのものです。点数が低かったからといって必ずしも褥瘡ができるわけではなく、逆に点数が高くても特定の状況下では発生することがあります。日々の皮膚観察を欠かさず、この計算結果を日々のケアの質向上に役立ててください。