カッツ指数 (Katz ADL Index) 計算機
日常生活動作(ADL)の自立度を客観的に評価します。0〜6点で算出します。
カッツ指数(Katz ADL)とは?:高齢者支援の基本ツール
カッツ指数(Katz Index of Independence in Activities of Daily Living)は、高齢者や慢性疾患を持つ患者が、どの程度「自分ひとりの力で生活できているか」を評価するための世界的に標準化された指標です。
1963年にシドニー・カッツ博士らによって開発されたこの評価法は、日常生活において最も基本的な6つの動作に焦点を当てています。複雑な動作(買い物や料理など)ではなく、人間が人間として生活するために最低限必要な機能(これをBADL:基本的人間活動と呼びます)を客観視することが目的です。
6つの評価項目と判定基準
カッツ指数では、以下の6項目について「自立(1点)」か「依存・介助が必要(0点)」かで判定します。
- 入浴: 全身を自分で洗えるか(あるいは一つの部位のみの介助で済むか)。
- 更衣: 衣服を自分で選び、ボタンやファスナーの操作を含めて着脱できるか。
- 排泄: トイレへの移動、着脱、後始末が自分でできるか。
- 移動: ベッドから椅子への移乗や歩行が自立しているか。
- 失禁管理: 排尿・排便を完全に自己コントロールできているか、あるいはカテーテル管理ができているか。
- 食事: 器から食べ物を口に運ぶ動作が自立しているか。
スコアの読み方と意味
合計スコアは0点から6点の間で算出され、点数が高いほど自立度が高いことを示します。
| スコア | 自立度の判定 | ケアの方向性 |
|---|---|---|
| 6点 | 完全自立 | 現状の機能維持を目的とした予防的アプローチ。 |
| 4〜5点 | 軽度〜中等度の依存 | 特定の動作(例:入浴のみ)に対する部分的な介助が必要。 |
| 2〜3点 | 重度の依存 | 複数の生活動作において恒常的な介助が必要。 |
| 0〜1点 | 最重度の依存 | ほぼ全介助の状態。手厚い介護ケアと医療体制の検討。 |
臨床と法制度での活用:介護保険とケアプラン
1. 介護認定のプロセス
日本における「要介護認定」の調査段階でも、ADLの評価は重要な項目となります。カッツ指数そのものが直接使われるわけではありませんが、その考え方は共通しており、どのような公的サービスが必要かを判断する根幹となります。
2. リハビリテーションの効果測定
脳卒中や骨折などで入院した患者が、リハビリを通じてどれだけ機能回復したかを測る指標として、入院時・中間・退院時のスコア変化を追跡します。
3. 予後予測と死亡リスク
近年の研究では、カッツ指数の低下が将来的な「入院リスク」や「死亡率」と相関することが示されています。単なる動作の可否ではなく、生命力そのものを表すバロメーターと言えるでしょう。
ADL低下を防ぐために:家族ができること
加齢とともにADLは徐々に低下しますが、「使い勝手の良い福祉用具の導入」や「段差の解消」によって、0点だった項目を1点(自立)に戻すことが可能です。
- 過保護になりすぎない: 自分でできる動作までは奪わないよう、見守る勇気が大切です。
- 環境を整える: お風呂場に椅子を置く、トイレに手すりをつけるなど、環境次第で点数は変わります。
- タンパク質と運動: サルコペニア(筋肉減少症)を防ぐ栄養と軽い運動が、ADL維持の土台となります。
まとめ
カッツ指数は、高齢者本人が「尊厳を持って、自分らしく生きる」ための現在の立ち位置を教えてくれる地図のようなものです。本計算機を通じて正確な状態を把握し、より良いケアプランや生活改善に役立ててください。