等エントロピー流計算機

マッハ数から圧縮性流体の熱力学的特性比を算出します。

(空気の場合は通常 1.4)
M = 2.0
温度比 (T/T₀)
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圧力比 (P/P₀)
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密度比 (ρ/ρ₀)
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断面積比 (A/A*)
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等エントロピー流とは?:圧縮性流体力学の極意

流体力学、特に航空宇宙工学において等エントロピー流(Isentropic Flow)は、最も基本的かつ重要な概念の一つです。これは、流体の流れが「可逆的(摩擦がない)」であり、かつ「断熱的(外部との熱の出入りがない)」である理想的な状態を指します。

現実の空気の流れには粘性による摩擦や熱伝導が存在しますが、衝撃波を伴わない滑らかな高速流においては、等エントロピー流の仮定を置くことで、流れの状態を驚くほど正確に予測することができます。

マッハ数と流れの性質

等エントロピー流の状態を決定づける唯一の指標がマッハ数 (M)です。マッハ数は、流体の速度 $v$ とその場所における音速 $a$ の比($M = v/a$)で定義されます。

  • 亜音速 (M < 1): 音より遅い流れ。
  • 遷音速 (M ≈ 1): 音速付近の流れ。
  • 超音速 (M > 1): 音より速い流れ。

本計算機では、マッハ数に基づいて「よどみ点(速度がゼロになる点)」の状態量($T_0, P_0, \rho_0$)に対する現在の流れの状態量($T, P, \rho$)の比率を算出します。

主要な等エントロピー関係式

比熱比を $\gamma$(ガンマ)とすると、以下の公式によって各比率が導かれます。

1. 温度比 (T/T₀)

T/T₀ = [1 + (γ-1)/2 * M²]⁻¹

流体の運動エネルギーが熱エネルギーに変わる「断熱圧縮」の度合いを示します。高速で飛ぶ飛行機の表面が熱くなる(空力加熱)の原理も、この式の一部として理解できます。

2. 圧力比 (P/P₀) と 密度比 (ρ/ρ₀)

P/P₀ = (T/T₀)^(γ/(γ-1))
ρ/ρ₀ = (T/T₀)^(1/(γ-1))

これらはポアソンの法則に基づいています。マッハ数が高くなるほど、静圧比($P/P_0$)は急激に低下します。

3. 断面積比 (A/A*)

音速点(M=1)の断面積 $A^*$ と、現在のマッハ数 $M$ における断面積 $A$ の比です。

A/A* = (1/M) * [ (2/(γ+1)) * (1 + (γ-1)/2 * M²) ]^((γ+1)/(2(γ-1)))

この式はラバール・ノズル(縮小拡大ノズル)のデザインにおいて決定的な役割を果たします。

ラバール・ノズルの不思議:なぜ「拡大」すると加速するのか?

日常生活でホースの先を絞ると水が勢いよく(加速して)出るように、亜音速(M < 1)の流れでは「断面積を小さくする」ことが加速につながります。

しかし、流れが音速(M = 1)を超えると、この物理法則が逆転します。超音速域では、むしろ「断面積を大きくする」ことで流体はさらに加速するのです。

ロケットエンジンのノズルが途中からメガホンのように広がっているのは、まさにこのためです。途中の「スロート(のど)」と呼ばれる最も狭い部分で音速に達し、その後の拡大部で一気に超音速まで加速させ、巨大な推力を得ているのです。

等エントロピー流計算が必要な場面

航空機設計

ピトー管による機速測定や、翼表面の圧力分布予測に欠かせません。

宇宙ロケット工学

燃焼室から噴射されるガスの速度を最大化するためのノズル形状設計の基礎となります。

風洞試験

超音速風洞において、所望のマッハ数を得るために必要なノズル形状や空気圧を設定するために使用されます。

まとめ

等エントロピー流の計算は、空飛ぶ機械を設計するマニアやエンジニアにとっての「地図」のような存在です。マッハ数が1を超えた瞬間にルールが変わる、そのダイナミックな流体力学の世界を、本計算機の数値から感じ取ってみてください。