HEARTスコア計算機

胸痛患者の心血管イベント発生リスク(MACE)を層別化します。

※このツールは医療従事者向けです。緊急の胸痛がある場合は直ちに救急車を呼んでください。
特徴的な痛み、放散痛、随伴症状などを総合的に評価。
LBBB、LVH、ジギタリス効果などは非特異的に分類。
リスク因子:高血圧、高脂血症、糖尿病、喫煙、家族歴、肥満など。
既往歴:心筋梗塞、PCI/CABG後、脳卒中、末梢動脈疾患。
当院の基準値に従ってください。

評価結果

HEARTスコアとは?

HEARTスコアは、胸痛を主訴として救急外来(ER)を受診した患者に対し、急性冠症候群(ACS)のリスクを迅速に層別化するために開発された臨床予測ルールです。 以下の5つの項目の頭文字をとって名付けられました。

  • History(病歴):痛みの性状、胸部圧迫感、放散痛など、典型的な狭心痛らしさを医師が主観的に評価します。
  • ECG(心電図):虚血性変化の有無を評価します。ST上昇があれば即座に治療が必要ですが、ST低下や非特異的変化を点数化します。
  • Age(年齢):加齢とともにリスクが上昇するため、年齢区分で点数をつけます。
  • Risk factors(危険因子):生活習慣病の数や、すでに血管の病気を持っているかどうかを評価します。
  • Troponin(トロポニン):心筋ダメージのマーカーであるトロポニン値の上昇度を評価します。

6週間以内のMACE発生リスク

このスコアの目的は、今後6週間以内に「主要心血管イベント(MACE: Major Adverse Cardiac Events)」が発生する確率を予測することです。 MACEには、心筋梗塞、緊急血行再建(カテーテル治療やバイパス手術)、死亡が含まれます。

リスク分類と一般的な対応指針

スコア リスク分類 MACE発生率 対応の目安
0 〜 3 点 低リスク (Low) 0.9 〜 1.7% 早期帰宅を検討可能。外来でのフォローアップ。
4 〜 6 点 中リスク (Intermediate) 12 〜 16.6% 入院観察、連続的なトロポニン測定、追加検査(エコー、負荷試験など)を推奨。
7 〜 10 点 高リスク (High) 50 〜 65% 侵襲的検査(冠動脈造影)を含む積極的な治療を検討。

他のスコアとの比較

胸痛のリスク評価には、他にもTIMIスコアやGRACEスコアなどがありますが、HEARTスコアは「低リスク患者の除外(Rule-out)」において特に優れた性能(感度が高い)を持つとされています。 「帰しても大丈夫な患者さん」を自信を持って見分けることができるため、不要な入院を減らし、医療リソースの適正化に貢献します。

ただし、あくまで確率論的な予測であり、最終的な判断は医師の診察と他の検査所見に基づいて行われる必要があります。特にHEARTスコアが低いからといって、100%安全というわけではありません(1%程度のリスクは残ります)。

出典・参考文献:
Six AJ, Backus BE, Kelder JC. Chest pain in the emergency room: value of the HEART score. Neth Heart J. 2008;16(6):191-6.
Backus BE, et al. A prospective validation of the HEART score for chest pain patients at the emergency department. Int J Cardiol. 2013;168(3):2153-8.