ゲンタマイシン投与量計算機

腎機能を考慮したゲンタマイシンの初期投与設計をサポート。

ゲンタマイシンの投与設計について

ゲンタマイシン(Gentamicin)はアミノグリコシド系抗生物質であり、緑膿菌などのグラム陰性桿菌に対して強力な殺菌作用を持ちます。しかし、治療域が狭く(有効濃度と中毒濃度が近い)、腎毒性や聴器毒性といった副作用のリスクがあるため、TDM(Therapeutic Drug Monitoring:薬物血中濃度モニタリング)が必須とされる薬剤です。

1日1回投与法 (Once-Daily Dosing)

近年、アミノグリコシド系薬は「濃度依存性」の殺菌作用と「持続的な抗菌効果 (PAE: Post-Antibiotic Effect)」を持つことから、1日の総投与量を1回で投与する「1日1回投与法」が主流となっています。

  • メリット: 高いピーク濃度 (Cmax) を得ることで殺菌作用を高めると同時に、トラフ濃度が検出限界以下になる時間を設けることで、腎臓への蓄積を防ぎ、副作用(特に腎毒性)を軽減できると考えられています。
  • 投与量目安: 通常 5〜7 mg/kg を1日1回投与します。本計算機では 5 mg/kg を基準としています。
  • 用量調節: 腎機能 (Ccr) に応じて、投与間隔を24時間、36時間、48時間と延長します。

従来法 (分割投与)

心内膜炎の併用療法や、熱傷、嚢胞性線維症、腹水貯留、妊娠中など、1日1回投与法の安全性が確立していない特定の病態では、従来の分割投与(8時間ごと、12時間ごとなど)が選択されることがあります。

腎機能評価 (Ccr) の重要性

ゲンタマイシンはほぼ100%が腎排泄されるため、腎機能の低下は血中濃度の顕著な上昇を招きます。投与設計には、血清クレアチニン値から推算したクレアチニンクリアランス (Ccr) を用いるのが一般的です。

Cockcroft-Gault式:

$$ Ccr = \frac{(140 - \text{年齢}) \times \text{体重}}{72 \times Scr} \times (0.85 \text{ if Female}) $$

TDMの目標濃度

日本化学療法学会のガイドライン等による一般的な目標値は以下の通りです。

  • ピーク値 (Cmax): 15〜20 µg/mL (1日1回法の場合) / 5〜10 µg/mL (分割投与の場合)
  • トラフ値 (Cmin): 1 µg/mL 未満(副作用防止のため)

初期投与後、3〜4回目の投与直前(トラフ)と投与1時間後(ピーク)に採血を行い、解析ソフト等を用いて個々の患者の薬物動態パラメータ(Vd, ke)を算出し、投与量を最適化してください。