FeUrea (尿素排泄率) 計算機

利尿剤の影響を受けにくい、急性腎障害(AKI)の鑑別診断ツール。

血液検査データ (Serum)

mg/dL
mg/dL

尿検査データ (Urine)

mg/dL
mg/dL

計算結果

執筆者:Kaori Suzuki (Gojikara 臨床検査医学リサーチャー)

急性腎障害(Acute Kidney Injury: AKI)に直面したとき、その原因が「腎前性(Prerenal)」なのか、それとも「腎性(主に急性尿細管壊死: ATN)」なのかを見分けることは、治療方針を決定する上で極めて重要です。

長年、その鑑別のゴールドスタンダードとして用いられてきたのが「FeNa(ナトリウム排泄率)」でした。しかし、FeNaには一つ大きな弱点があります。それは、「利尿剤(ラシックスなど)を使用していると数値が不正確になる」 という点です。利尿剤はナトリウムの再吸収を阻害するため、本来は腎前性であってもFeNaが高値(>1%)になり、ATNと誤診してしまうリスクがあるのです。

そこで注目されているのが、この FeUrea(尿素排泄率) です。

1. FeUreaのメカニズムと計算式

尿素(Urea)は主に近位尿細管で再吸収されますが、ナトリウムとは異なり、利尿剤の影響をほとんど受けません。そのため、利尿剤使用下でも腎臓の再吸収能力(=尿細管機能が保たれているか)を比較的正確に反映します。

`FeUrea (%) = ((U-Urea × S-Cr) ÷ (S-Urea × U-Cr)) × 100`

※日本国内では尿素(Urea)そのものではなく、尿素窒素(BUN)として測定されることが多いですが、分母と分子の単位が揃っていれば、そのままBUNの値を用いて計算可能です。

2. 解釈:35%の壁

多くの臨床研究により、以下のカットオフ値が提唱されています。

  • FeUrea < 35%: 腎前性腎不全 (Prerenal Azotemia) の可能性が高い。
    尿細管機能は保たれており、体液量減少などに反応して尿素を積極的に再吸収している状態です。輸液負荷への反応が期待できます。
  • FeUrea > 35% (〜50%): 腎性腎不全 (ATN) の可能性が高い。
    尿細管がダメージを受けており、尿素を再吸収できずに垂れ流している状態です。

3. FeNa vs FeUrea

指標 腎前性 腎性 (ATN) 利尿剤の影響
FeNa < 1% > 2% 極めて大きい
FeUrea < 35% > 35-50% 小さい

4. 使用上の注意点

FeUreaは強力なツールですが、万能ではありません。敗血症の初期など、尿細管機能が変化しやすい状況や、浸透圧利尿(高血糖など)がある場合は解釈に注意が必要です。また、高齢者やCKD(慢性腎臓病)患者ではベースラインの値が異なる場合があります。必ず臨床所見(身体診察、尿沈渣、腎エコーなど)と合わせて総合的に判断してください。

5. まとめ:利尿剤時代の必須計算

心不全や肝硬変などで利尿剤が常用されている患者がAKIを発症するケースは日常茶飯事です。そのような場面で、FeNaではなくFeUreaを計算することで、より適切な診断と治療選択(輸液か、利尿剤中止か、透析か)に繋げることができます。

Gojikaraは、臨床現場の「迷い」を減らし、最適な医療判断を支援するツールを提供し続けます。