熱傷重症度判定計算機
火傷の面積、深さ、合併症から医学的な緊急度を評価します。
判定レポート
熱傷(火傷)の重症度を正しく理解する
日常生活で不意に起こる「火傷(熱傷)」。直後の痛みやショックでパニックになりがちですが、医学的に最も重要なのは**「どのくらいの深さまで達しているか(深達度)」**と**「どれくらいの広さに及んでいるか(受傷面積)」**を正しく把握し、適切な医療機関を受診するかどうかを判断することです。
本記事では、専門家が使用する「9の法則」や重症度分類の基準を解説し、いざという時のための知識を深めます。
1. 熱傷の「深さ(深達度)」による分類
熱傷はその深さによって大きく3つの段階(I度、II度、III度)に分けられます。
- I度熱傷(表皮熱傷): 日焼けのような状態で、皮膚の表面(表皮)のみが損傷。赤みと痛みがありますが、数日で治り、跡は残りません。
- II度熱傷(真皮熱傷): 真皮(皮膚の深い層)まで損傷。非常に強い痛みと**「水ぶくれ(水疱)」**ができるのが特徴です。
- 浅在性II度:跡を残さず治ることが多い(約2週間)。
- 深在性II度:跡(肥厚性瘢痕)が残る可能性があり、治癒に3週間以上かかります。
- III度熱傷(全層熱傷): 皮膚の全層が死滅。色は白っぽくなったり、黒く焦げたりします。感覚神経まで死滅しているため、逆に**「痛みを感じない」**のが非常に危険なサインです。手術(植皮術)が必要になる場合がほとんどです。
2. 熱傷の「面積(TBSA)」を測る指標
全身の皮膚表面積のうち、何パーセントが受傷しているかを**TBSA(Total Body Surface Area)**と呼びます。これを概算するための有名な方法が**「9の法則」**です。
- 頭部:9%
- 左右の腕:各9%(計18%)
- 体幹前面:18%
- 体幹背面:18%
- 左右の足:各18%(計36%)
- 会陰部:1%
また、応急処置の現場で役立つのが**「手掌法(しゅしょうほう)」**です。患者自身の「指を閉じた状態の手のひら」を約1%と換算して計算します。
3. 緊急性を要する「重症熱傷」の基準
以下の条件に当てはまる場合は、命に関わる可能性がある、または特殊な治療が必要なため、専門の熱傷センターや救急外来への受診が強く推奨されます。
- 特殊な部位: 顔面、手首から先、足先、関節部、性器などの受傷。機能障害や整容的な問題が大きいためです。
- 吸入損傷: 煙を吸った、あるいは鼻毛が焦げている場合。呼吸道がむくんで呼吸困難になる恐れがあります。
- 電撃性・化学性熱傷: 電気や化学薬品による火傷は、見た目以上に深部が損傷していることが多いです。
- 高齢者・乳幼児: 体力や皮膚の薄さの関係で、軽微な面積でもすぐに脱水や感染症に陥りやすいため注意が必要です。
4. 応急処置の鉄則:冷却
火傷をしたら、何よりも優先すべきは**「冷却」**です。水道などの流水で15分〜30分程度、痛みを感じなくなるまで冷やし続けてください。これにより、熱が深部へ浸透するのを防ぎ、炎症と痛みを抑えることができます。ただし、広範囲の場合は全身が冷えすぎない(低体温症)ように注意が必要です。
よくある質問 (FAQ)
Q. 水ぶくれは破ってもいいですか?
A. いいえ、原則として破ってはいけません。水ぶくれの中の液は傷を治す成分を含んでおり、皮が天然の包帯として感染を防いでくれます。破れた場合は清潔なガーゼで保護してください。
Q. アロエや味噌を塗ってもいいですか?
A. 絶対に避けてください。細菌感染の原因となるほか、病院で診断を行う際、皮膚の状態が見えにくくなり処置が遅れる原因となります。
Q. 病院に行くタイミングは?
A. 「II度以上(水ぶくれができる)」の火傷、あるいは「I度でも広範囲(子供で10%以上、大人で15%以上)」の場合は速やかに受診してください。
まとめ
火傷は「早めの的確な判断」が、その後の治りや跡の残りに大きく影響します。この計算ツールを使って自身の状態を客観的に評価し、少しでも不安がある場合は自己判断せずに専門医(形成外科・皮膚科・救急)の診察を受けてください。あなたの迅速な行動が、健やかな皮膚を守る第一歩となります。
※本ツールは一般的な健康情報の提供を目的としたものであり、専門的な医師による診断に代わるものではありません。緊急時は迷わず119番通報、またはお近くの救急外来へ連絡してください。